トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

とりあえずおすすめできる本

はじめに

本好きな人は、本の整理に悩まされると思います。わたしは極めて整理ベタで、手にとった本をうっかり読み返してしまい、なかなか整理が進まない事もしばしばです。そういう本を集めてみました。(順不同。読んだ順番にもなってません。)

注意

改訂されていたり、絶版になっていたり、別の出版社から出ていたり、そういったことはままあります。出版者などの情報は参考程度にね。(って、書かなくてもわかるよね?)

紹介

順不同・敬称略。読んだ順でもありません。

学校は日々ドラマ 多賀たかこ 朝日新聞社 朝日文庫 1992
高校教員になろうかな、という人はほとんど普通科出で、高校生活をつつがなく暮らされた方だと思う。そういう方にぜひオススメ。この前に同じ文庫で出た『はいすくーる落書』とあわせて読むとなおいい。「現場」の雰囲気がとってもよくでているような気がする。
全国アホバカ分布考 松本修 新潮社 新潮文庫 1996
「探偵!ナイトスクープ」というTV番組をご存知だろうか。そこに視聴者からきた一通の調査依頼はがき。「アホ」と「バカ」の境界はどこか? このはがきからすべてがはじまった「全国アホバカ分布考」。ブ厚い(582頁)けど、著者がTVプロデューサーだけあって、大阪的ドキュメンタリータッチ?で書いているので、難なくよめます。
きらきらひかる 江國香織 新潮社 新潮文庫 1994
小説を買うことはあんまりないのですが、この本は、なんとなく手にして買って読んでしまった本です。一章ごとに主人公の2人の視点が入れ替わりで書かれています。主人公のひとりである笑子の描写が特にすぐれていると思います。著者あとがきで曰く、「ごく基本的な恋愛小説を書こうと思いました。」
忘れられた殉教者 奈良本辰也・高野澄 小学館 小学館ライブラリー 1993
江戸時代の禁制宗派はなんだったか。一つは切支丹一門。もう一つは、ほとんど知られてない日蓮宗不受不施派である。必ず捕縛され、きびしい拷問があるのを知りながら、何度となく、国主に対して、諌曉をする不受不施僧は後を絶えなかった。不受不施とは何か? なぜ彼らはそこまでしたのか? 著者独得の独白体ともいえる調子で綴られている。何度読んでも飽きない。
乱調文学大辞典 筒井康隆 角川書店 角川文庫 1986
「デカダンス:和田アキ子が踊るゴーゴーのこと」「デカルト:コビトのオルガスムについての方法序説を書いた哲学者。=ゴビト・オルガ・スム」。こういうのが理解できるヒトは読むとたのしめます。巻末付録「あなたも流行作家になれる」もついてて大変オトクです。
金沢城のヒキガエル 奥野良之助 どうぶつ社 1995
自然界の生態系では、生存闘争きびしいなか、さまざまな生物が生きているとされる。それは、ホンマか? のんびり暮らしている生き物だっているぞ。この本はのんびり生きる「ヒキガエル」の生態の話を主軸に、生態学のはなしや大学教育のはなしがぽこぽこでてくるおもしろい本。生態学に興味のある人はなおさらどうぞ! なお、同じ著者の『磯魚の生態学』(創元社)もオススメ。
マルコムX自伝 マルコムX 河出書房新社 1993
数年まえ、突然ふってわいた「入院」の時、何か本はないかと、古本屋へいって買った本です。キング牧師の「I have a dream」を甘いといって批判した人物、ということくらいは知っていましたけど、すごい人ですね。この本を読むと米国が「るつぼ」ではなく「サラダボウル」である、ということ意味が少しわかったような気がします。「理解」は簡単ではない。(本多勝一がたしか『事実とは何か』(朝日文庫)で書いているように、実際聞き書きをやったアレックス=ヘイリーの姿がどこにも見えないというのも、またすごい。)
三酔人経綸問答 中江兆民 桑原・島田訳 岩波書店 岩波文庫
前半の現代語訳はまったく見ずに、後半の原文を読むとよいと思います。漢文調の文章の調子よさを堪能したいとき、総ルビのこの本はオススメです。ちょっとルビ抜きで写してみましょう。「洋学紳士曰く、欧州学士戦争を非とする者曰く、進撃は義に反するも、防御は義に合す、と。其意、各個人有する所の正当防衛の権を把り来たりて、之を邦国に移さんと欲す。僕の意を以て之を考ふれば、此れ甚だ理学的の旨趣に非ざるなり。何ぞや。元来、人を殺すは悪事なり。生理的の秩序を壊るが故なり。是故に、寧ろ人我を殺すも、我れ人を殺すこと勿れ。」てな感じ。
ノンデザイナーズ・デザインブック Robin Williams 吉川典秀訳 米谷テツヤ解説 毎日コミュニケーションズ 1998
プリント・レジメ・報告書ktpをつくるとき、同じ内容でも文字の配置や大きさや種類の違いによって、見栄え・印象がぜんぜん違うことはしょっちゅうあります。この本は、そういったことを具体的に4つの法則にまとめて解説していて、たいへんわかりやすい! 翻訳本だけあって、日本語の話はごく僅かの補足解説しかないのですが、フォントの話のところは自分で翻案すればどうということはないです。とにかく、見栄えを気にしはじめたけど、どうしていいかわからない人におすすめ!
機関車先生 伊集院静 講談社 講談社文庫 1993
時は昭和三十数年の春、まだまだ戦争の記憶が残っているころ。瀬戸内海に浮かぶ葉名島にも菜の花が咲き、水見色小学校に一人の代用教員がやってくるところから物語は始まります。解説者が「不覚にも...」と書いていたが、わたしも同様。こういうさわやかな童話(?)っていいよね。特に「ヨウ」の未分化なところがよく書けていると思う。
共産主義者宣言 カール=マルクス 金塚貞文訳 太田出版 1993
真っ赤な装丁。でかいオビ。いまどき新刊で出すなんて変わっているなぁ、と見た瞬間思った。ときは1993年、ベルリンの壁が崩れ、資本主義の勝利が言われ、共産主義なんてどこかへいってしまった時。しかし、訳者はいう。「あえて新訳を刊行することの最大の動機は、酔狂にある」。他社の『共産党宣言』を読むよりは、柄谷行人の「刊行によせて」と訳者の「今どき何が『共産主義者』か」をよめるこっちを強く推す。訳もオビで「旧来の『共産党宣言』を破棄し、明晰な現代日本語文として鮮烈に蘇る90年代の新『宣言』」というだけあって、イイ。他社版と比較しながら読むと面白いよ。
がんばっていきまっしょい 敷村良子 マガジンハウス 1996
1998年12月に公開された同名の映画の原作である。高校時代というのは、「わぁぁぁぁぁぁっ」っていっているうちに、あっという間に終わってしまったような、気がするけど、そういう雰囲気がよく書けていると思った。主人公の娘の「恋」に対する鈍感さや、ひとつのことに集中している雰囲気などは、とってもよくわかる気がした。おすすめ。(この高校は実在するんだねぇ。校歌に学校名が出てこないなんて、いいなぁ。)
石流れ木の葉沈む日々に 高野不当解雇撤回対策会議編 労働旬報社 1977
学生のときに、古本屋でたまたま手にとって読んだ本。「思想・心情の自由」を憲法は保証するが、また同時に「憲法は工場(or会社)の前で立ちつくす」ということも云われる。試用期間まじめに働いていて、期間終了時に突然解雇通告。理由を聞くと、「身上書に書くべきことを書かなかったからだ」。はっきり言ってくれと言うと、「君のために言わないほうがいい」。くいさがると、「君の考えていることが会社にとって好ましくないのだ」。どういう考えがよくないのかたずねると「いわない方がよい」。納得できないというと「納得できるかどうかではない」。理由も言わず首をきることはできないのではないかと言うと、「私達はできると考えている」。ここから始まった三菱樹脂高野事件。不当なことには不当といい、過ちは改めさせるということがいかに大変で、かつ素晴しいものか、最後には対策会議の一員だったような気分になってしまった。
縄文人の知恵にいどむ 楠本政助 筑摩書房 ちくま少年図書館 1976
縄文人は鹿の骨をつかって槍の先や鏃や釣針などを作っていたことは小学生でも知っている。しかし、鹿の骨は固すぎる。石器では削れない。筆者は、この謎の解明に当時の道具で実際に釣針を作ってみるという、だれもが思いつきそうで、実際はだれもやってない手段で挑戦し、ついにはたした人。この業績によって「実験考古学」なる分野を確立した。本自体は中学生向きの本だけど、わくわくしてくる本。(ちくま少年図書館シリーズ自体が絶版となったのは残念。ぜひこの本も文庫化してほしい。)この続編ともいえる本が『縄文生活の再現』(ちくま文庫)である。こっちも続けて読むといいよ。
ひげよ、さらば(上下) 上野瞭 新潮社 新潮文庫 1987
NHKで人形劇をやっていたので、それで知った本。ハードカバーが中学校の図書館にあったが、ブ厚くて手がでなかった。卒業後、文庫版を発見し、おもいきって手にとって読み出したら、あっという間だった。記憶喪失の猫、ヨゴロウザと、「理想」に燃える猫、片目を中心に、物語は進む。「ナナツカマツカ共同体」は、タレミミたちを倒すという成果をあげ、夢は実現したかにみえたが...。「猫たちのバラード」というサブタイトルはぴったし。
Macintosh礼讃 中原晃司/梶原正規 カットシステム 1997
著者達のMacに対する愛にあふれている本。はやい話、「なぜMacintoshなのか」がひたすらつめこまれているといってもいい本である。ところどころにあるイースターエッグのコラムや、Macintoshのデビューコマーシャル「1984」などが収録されたCD-ROMなど、Macにこだわりがある人なら、絶対にオススメ。ただ、話が少し古いので、現在のMacを著者がどうみるのか、という興味が正直わいている。
能登原発はやっぱり危ない! 生越忠編 JICC出版局(現"宝島社") 1989
時は1989年。チェルノブイリの事故以降、世界初の新規建設原発として能登原発(現"志賀原発")計画が進んでいた。しかし、建設予定地が原発建設には最悪の地盤であるという内部告発。このブックレットの前に出た『北陸が日本地図から消える日』はその内部告発を学者(生越忠)が検証し、一躍有名となった。これに慌てた北陸電力は、徹底した広報宣伝活動(PA)を展開。内部告発に対しても、地質問題のみに反論。それに対し、再度内部告発があり、それに学者が再度検証したのが、このブックレット。当時の息づかいが感じられ、専門的な話も丁寧に読めば、北電がクサイくらいすぐわかる。土木系の学生・生徒さんに特にオススメ。
ことばが劈かれるとき 竹内敏晴 筑摩書房 ちくま文庫 1987
いわゆる『賢治の学校』にかかわっている知人の影響で、わたしは大学4年生の時にこの本を読んだ。自分で自分をコントーロールする、というときに、ことばではわかっていても、からだでは納得してくれず、からだが「いやいや」する、という体験がある。学校はとかく「ことば」の世界で、「からだ」のことはあまり考えない。「からだ」と「ことば」を切り離さず、一緒なものとして考える、そういう視点を与えてくれたこの本には感謝している。しかし、公教育の現場にたとうとしたとき、この本や賢治の学校のアプローチは、「先生」なるにんげんの力量をこえてしまう。わたしたちは療法士でもなければ、カウンセラーでもない。自分がタダのおっさん&おばさんであると手のひらをみてしまった時、この本はどう読めるのだろうか。
革命幻談・つい昨日の話 栗原幸夫 社会評論社 1990
この本は敗戦後、いっかんして「運動」畑にいた著者への聞き書きである。一番読んでて「おもしろかった」ところは、やはり日本共産党と運動の話である。著者は大学生の時に共産党に入党し、戦後しばらく共産党とともにあったひとである。わたしは、学生の頃、なぜかくも「運動」において、共産党は確実に「距離」をもって接せられているのか、大きな疑問だった。それが一朝一夕のことではなく、共産党のいう「誹謗・中傷」や「攻撃」だけではない何かがあるように感じていた。しかし、共産党が戦後直後からしばらくは、ずっと、一貫して、社会変革の力を集め、同時に権威であった(=「たとえば、労働運動の中で何かやろうとしたり、あるいは大衆運動のなかでなにかをやろうとすると、共産党しかな」かった)こと、そして、占領政策の変化や1947年の2・1ゼネラルストライキ失敗以後の無力感からか、戦後の突きぬけたような明るい「希望」は急速にしぼみはじめ、1950年のコミンフォルムの論評からの共産党分裂、除名、復党、第二次総点検運動、査問、また除名、そして6全協、ソ連共産党第20回党大会(スターリン批判)...、と続く著者の語りを聞いていると、正義と正統性(正当性)を身につけた集団(=前衛党)の「体質」という根本的なものへの批判が、共産党への拒否感の中で大きいのだなということが、なんとなく、理解できたように思う。自分たちの活動を「運動」と思う方にオススメ。

リンク

近況

最近読んだ本は本棚.orgにあります。

間違いの指摘や、ご意見などは、FrontPageにある連絡先にメールを下さるとうれしいです。

最終更新時間:2005年04月28日 13時43分13秒